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ノーリッジのモリー [イギリス2011]

2月に行ったイギリスネタ番外編。

Norwichという田舎町、ここに9ヶ月ホームステイしてました。わたしが生まれて初めてイギリスという国に降り立ち、初めての海外生活を始めた場所。そのときはほぼ英語もしゃべれない状況。当時フランスの輸入服の会社に勤めていた。周りは英語はもちろん、フランス語も話す「トリリンガル」の方々が多数。わたしの仕事は直接外国語が必要ではなかったけど、毎日が一人コンプレックス。電話も取れないし、フランス人のお客さんが来ると逃げるように仕事に集中する。会社の人たちはみんな気さくでだ~れも自分のこと気にしてないのに、、いつもそんなこそこそしている自分が哀しくって。一念発起して、英語出来ませんコンプレックスの自分におさらばする決意をし、行ったこともないイギリスへ。

その国を好きになるか否かはその土地で誰に出会うかによると思う。どんなにおいしいものを食べて、どんなに素敵なホテルに泊まっても、その国の人に嫌な印象を受けたらその国自体を好きにはなれない。わたしはラッキーだった。取っ掛かりがこれほどの田舎町(ごめん、)で、家には犬が数頭、小動物たちもいる。お父さん、お母さんが優しい。英語がなまってない。おまけにご飯もうまい!しかしそんな生活の中にも辛かった時間が。それは一緒にイギリスのコメディー番組を見るとき。字幕があってもまったくわからんのだ。何でそこで笑うんだ。どこが面白いんだ。テレビでもお茶の間でも大笑いするとお父さんが決まってわたしに振り向き「どうだ!おもしろいだろ!」みたいな顔をする。「そうだね~。へへへ」とごまかすのも毎度やってると「おめーほんとはわかってないだろ」みたいな顔されると悲しくなるのよ。

まぁ、それは抜きとしても、いろんなところに連れて行ってもらいました。じつはこの家、家族がべらぼーに多いのだ。子供が7人にその孫が15人以上だったか。ひ孫もいたぞ。+親戚ピープルです。覚えてられません。家族が多いからイベント多し。日本にいたら勘弁って感じだけど、こっちは英語を勉強するのに時間とお金を使って渡英している社会人です。時は金なり。誘われればどこにでも行きましたよ。だれだれの銀婚式パーティ、だれだれの退院パーティ、庭をきれいにしたからバーベキューパーティ、犬にパピーが生まれたから見にいこう。クリスマスにイースターと目白押し。もちろん日本人はわたしひとり。パーティなんてどうして良いかわかんないから飲むしかないです。とりあえずかけつけ数杯飲み、あとはダンスに参加し、回ってきたお酒で、なんとなく話しに参加するようになる。行くときはドキドキ、緊張、いや、やめちゃおうかなんて思うけど、行ってみると毎度「行ってよかった」なのだ。小さいながらも勇気を出してよかったなのだ。

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7年ぶり。この家を離れて他のイギリスの町にいた時も月に一度は遊びに来てた。大好きな二人。おいしい料理。わたしのお店作りの原点はイギリス、いや、この家にあるのだ。

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お店でも出してるフィッシュパイに、スティームドプディング。なんてうまいんだ。

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でもね、もうひとつ思い入れの強い理由。ある犬の事。

それはモリーというラブとロッドワイラーのミックス犬の女の子。この犬にどれだけ慰めてもらったか。いきなり違った環境にはホームシックの自分。柚を日本に残し、知り合いもなし、言葉も分からずの時。犬だけは万国共通なのです。日本語が分かるのだ。ドンだけ話しかけたかな。モリーにはいろんな話を聞いてもらった。泣き顔も見せた。

7年会っていない。元気かなぁと心配だったけど。いたの。もう14歳。

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このとき実は悪性の腫瘍で前足が膨らんでいた。診断されたとき残り数ヶ月との話だったのに、それから半年以上も経っていた。わたしに会うとうれしそうに擦り寄ってきて、昔のような力強さはないけれど、コミカルな愛らしさはまんまだった。

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別れの朝、この犬にもう二度と会うことはないんだろうなぁと実感し涙がこみ上げてきた。モリーを抱きしめて泣いてる私にこんなかわいい瞳で見つめて「会いに来てくれてありがとう」といわれているようだった。

日本に戻って3日後。連絡があった。モリーが亡くなったと。

まるで私が会いに来るのを待っていたかのようだった。不思議で仕方がない。今回どうしてもイギリスに行きたかったのもモリーに呼ばれたんじゃないかとさえ思う。

女の子なのに、そう見られたことがないモリー。頭が大きくってサメみたいだとからかわれていたモリー。おもちゃの引っ張り合いでは力が入りすぎ、引きずられたよ私。私のベッドを先に占領し、一緒に寝たよね。どれだけあの大きな体を抱きしめたかな。どれだけあの大きなべろに舐められたかな。モリーがいたからイギリスでやっていけたよ。一生忘れることの出来ない、私の宝物。かけがえのない犬、モリー。いつかまたどこかで会いたい。

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今日のブログは長くなりました。でも読んでくださってありがとう。