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それからの自分と柚の気配 [柚&わたし]

愛犬を失った悲しみを背負った人はどうやって現在を生きているんだろう。。。。

今年になってそんなことをすごく知りたいって思ってた。近い未来の私がどうしているのか、どんな風に毎日を過ごしているのか、乗り越えることなんてできるんだろうか。経験者の方の話を聞きたかった。

この仕事を始めて10年間、私の旅行は別として、毎日欠かさず柚と一緒に通勤して来た。雨の日も台風の日も。病になった今年に入ってからも毎日一緒に来た。最後の日曜日まで。一日も欠かさず。これはもう奇跡に近いことなんじゃないだろうか。3500日。そんな柚がぱたっといなくなった。そうなってもうすぐ二週間。

結論。元気でいます。おなかもすきます。

でも本当は、いっ時だけおかしくなりました。柚が亡くなった翌日、お葬式のあと、疲れ果て、お風呂に入った途端、一気に悲しみという物体が襲ってきました。悲しみと認識しない得体の知れないもの。

頭の中に黒い雲が押し寄せてきて、呼吸が困難になり、息をしようとベランダに出るも、今度は部屋に入れなくなる。柚を思い出して辛くなったんでもなんでもなく、勝手に体がそうなってしまった。このまま死んでしまうのかと、自分の心と体が別々になってしまった感覚だった。あれは怖かった。本当に怖かった。生まれて始めてあんな風になった。柚のことですることが一つも無くなってしまったことを自覚し、強大な喪失感を一気に味わって頭と心臓をかきむしりたくなるような気持ち。。幸い、助けを求めた友達との電話で常軌を逸することなく、元に戻してもらえた。

次の日から仕事に出た。多くの人たちが柚を喜ばせようとお店に来てくれる毎日。「柚に会いに来たよ〜(^○^)」って。忙しく嬉しい日々。柚が一番喜んでくれてる展開。「柚が大喜びしてる」。そして私自身、お店に出ることでリハビリになっているようだった。黒い雲もあれ以来、来なかった。

亡くなった6月2日の火曜日からの一週間後。その日が来るのがなんていうのかな、その日を迎えるのが最後の難関のような。。。まるで見たくないものを見なきゃいけないような、気が重い感じ。

そして、一週間後の火曜日。「今日かぁ。。。。」

友達が私を外に連れ出してくれた。待ち合わせ場所に向かうため、外に出た。柚なしで出かけるなんてどんだけぶりだろう。地下鉄のホームを歩く。すると、またもや。。あぁ、どうしよう。。息苦しい。めまいがする。地上に出ようか。。。。だめだ、そんなことしたら一生電車に乗れなくなる。。。何とかしなくては。なんとか。。。で、スマホの中の、今日行くお店の画像を夢中で見た。無理やりその画面に自分を釘付けにした。助けて。乗り越えさせて。。。。す~っと楽になった。途中下車することなく、待ち合わせ場所で笑顔で待つ友達に会えた。

食事をし、プラプラ店を回る。柚が亡くなった夕刻が近づいてくるけれど、時計を見れなかった。でも、本当は気になる。行く店行く店で時計を探すけれど、みつけられなかった。このまま知らんぷりして過ごそうかとも思ったけど、、やはり気になる。勇気を出して友達に聞いた。

「今何時??」

彼女の腕時計が指していた時刻は5時20分くらいだった。動物的感かってくらいに、ぴたりその時間だった。一週間前のその時間。そして、そのときと同じように友達が私の傍にいてくれる。同じ寂しさを痛感しながら。

彼女が言う。「寂しさは変わらない。ただ寂しいってことに慣れて行くだけ」

一週間たった。一週間を乗り切った。    私はもう大丈夫。。。だと思う。

次の日、久しぶりにアイメークをした。アイラインして、マスカラして。それまでは涙で大変な顔になっちゃうからと、していなかったこと。もう化粧が落ちて不細工になることはないだろう。。今日からは。って思いで。

柚の気配は感じません。まったく。でもね、柚がいなくなって大きな穴がぽっかり空いたような空虚感がないのです。目で見える柚がいないことは確かだけど、わたしのいる場所の空気感が全然変わらない。それはスタッフの二人も、お客さんにも言われること。一番寂しいであろう夜の帰り道。真っ暗なお店を後にし、自転車をこいで、真っ暗い家に帰る。きっと一人で居ることが一番きついシチュエーションのはず。なのに、そんな帰り道が寂しいとか、泣いたことが一度もないんですね。柚の気配は感じないけれど、寂しく心細くないってことが、それ自体がもう柚の気配なんじゃないかと。私自身の一番弱いところを知っている柚のなせる技。

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心細くならないようにしてくれてる。それがきっと柚の気配。

今は随分と穏やかな気持ちで過ごしているんだなぁと思います。日が経つごとに思うのは、柚が生きていた時の方が辛かったんじゃないかってこと。命の期限を与えられ、それに向かって悪くなる症状を都度、これでもかと認識し、特に最後の2週間は「もうすぐいなくなる柚」という確信に近い思いで一緒に過ごした。一緒にいられることは確かに幸せだった。でも常にあった、「柚を失う恐怖」が。毎日毎日。

今はそれがない。失うという恐怖が。

寂しさという痛みは私だけにあるんじゃない。私のそばに、柚のそばにいてくれたみんなが同じ痛みを持っている。寂しさという悲しみを痛感している。それにプラス私を元気付けるという辛く疲れる思いをさせてしまったのも事実。でもね、あなたたちのおかげで私は生き延び、孤独という不安を感じずに来れたのです。助けられました。最大のピンチを救ってくれてありがとう。

病気になってからの半年間が数年に思える。元気だった柚が遠い昔のことのように感じる。柚と暮らしたことさえも一年以上も前の気がする。時間の感覚がおかしい。幸せだったけど悲しかったことを昔の出来事にしたいのかも。

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長い文章にお付き合いいただき、ありがとうございます。

しばらく活字を読むのも書くのもしんどい時がありましたが、ここ2日くらいからそれがなくなり。

 


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Miwa

Ciao j子
来週23日火曜日 イタリア語レッスンあります!
また一緒に始めよう♪
宿題は、自分の得意な料理のレシピを書いてくること。
動詞は原形でね。

by Miwa (2015-06-15 12:34) 

ユリア母

J子さん、こんばんは。柚ちゃんのこと、1日にお店を休むとあり嫌な予感がしていました。柚ちゃん、よく頑張りましたね。柚ちゃんが病気になってから、私はユリアを連れてお店に行けなくなりました。柚ちゃんを見るのが辛いから。そして14歳のユリアと重ねてしまうから。夜、隣で寝息を立てているユリアを見ながら、とてつもなく悲しく恐怖が襲ってくるときがあります。いつまでこうしていられるのか、と。目をそらしてはいけないのですね。会いに行けばよっかた、柚ちゃんに。今度ユリアと伺います。
by ユリア母 (2015-06-15 18:29) 

ララアント

こんばんは。
私もララを送っているので なんとなく 今の状況 心境分かるような
気がします。
でも 時系列で 今の心模様を文にできるJ子さんすばらしいですね!
何処に居ても 何をしていても 柚ちゃんの気配を感じながら
一日いちにち過ごしていけること それも又すばらしいですね!!
お店へお伺いします。。。
by ララアント (2015-06-15 22:09) 

千葉 貴

気のせいだったとは思いますが、私は2か月くらい気配を感じていました。しばらく犬は飼わない。そう思っていました。(父が病気だったので)
しかし、その父も愛犬がいなくなってガタっと気落ち。ネット上でダックスフンドを飼っているいる方のブログなどを読む毎日。こちらはその中で1番目に目にとまったところ。あと御二方アメブロで、二代目のダックスフンドを飼い始めたという日記。そうこうしているうちに今度は、ブリーダーサイト閲覧。結局、先代犬の死後5か月で2代目犬を飼うことに。生後3ヶ月でやってきて、1年4か月がたちました。
by 千葉 貴 (2015-06-16 03:50) 

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